Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.195 caratteri · 22 schermate
幸い私は、その間の事情をよく知って居りますので、差出がましいとは存じましたが、皆様の疑惑を説き、志津子さんの冤をそそぐために、最後の一言を添えさして頂き度いと存じます。
さて、話は十何年前に返りますが、その時喜田川志津子さんが、夫の激しい嫉妬の前に、自分の身を全うし、お友達の千束守さんを助け、そしてもう一つ大事なことは、夫三郎の悪意に満ちた奸策のために、もう一度恐ろしい不名誉な破産に瀕して居た両親を、その財政的破綻から救うためには、一体どんなことをしたら宜しいでしょう。
実際志津子さんは腐朽した欄干に不用意に凭れて、千尋の海に落ち込むような人ではなく、また浄瑠璃の小春や、おさんや、三勝のように、無分別で野蛮な情死などをする――そんな浅墓な人ではなかったのです。
その上、これは一番大事なことですが、事件のあった前夜、眠られぬままに、フト夜風に吹かれる積りで廊下に出た志津子さんは、夫の喜田川三郎氏が、闇に紛れて展望台の欄干に、妙な細工をするのを逐一見て取ったとしたらどんなものでしょう。
――夫の三郎氏は朝早く素知らぬ顔で東京へ行ってしまいました。この夫によって「死の淵」