Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぶぎょうとにんそうがく

奉行と人相学

菊池 寛

Leggi 奉行と人相学 (ぶぎょうとにんそうがく) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8053 caratteri · 17 schermate

Aozora Bunko

なるほど、これなら近所の貧民に恵んでいる筈だと思った。平素は、こうした軽罪のものに、ただ判決文をよみきかせるだけであるが、長吉の場合、越前は相手と話して見たくなったし、出来ることなら教化して、その当時の言葉で云えば、真人間にしてやりたいと思った。

「長吉とやら、何歳になるか」

と、越前が話しかけたので、列座している与力達は、びっくりしていた。奉行は、直接に犯人に話しかけるなど、稀有であるからである。

「へい、二十五でございます」

言葉つきも尋常である。

「両親はないか」

「ございません」

「いつ別れた?」

「父は十一歳の時存生して居りました。母は覚えて居りません」

「近隣の貧しい者達に、時々金銭を合力していたのか」

「へい。おはずかしうございます。時折、煙草銭ぐらいは……」

「うん、何人ぐらいに……」

「覚えて居りません、ホンの四、五人でございます」

こう云う善事を訊いてやると、大抵犯人は得意になって誇張するものである。が、彼はアッサリしたものである。

「二分とか一分とか、まとまったものを与えたことはないか」

「あるようでも、ござりまするが、忘れました」

「いや、盗みとった金を貰ったからと云って、別に貰った人達は、罪にならない。