Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おんなごころしゅうい

女心拾遺

矢田 津世子

Leggi 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.514 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

「旦那さまは、何んと仰言いましたんでございましょう?」

上眼で、こう尋ねた。

「旦那さまの御意見で、お前は動くおつもりかえ?」

「いいえ、ただ……」

おしもは眼を伏せた。唐沢氏の気もちを斟酌して、それで動こうとする容子がよく分るのである。

「お嫁にいくのは旦那さまではなく、おしもなのだから、おしもが独りで決めて構わないのだよ」

それを云いながら老夫人は瞼の熱くなるのを覚えた。唐沢氏に気兼ねをして、おずおずと居竦んでいるおしもが不憫だというよりは、おしもを其処におく無智の仕業が哀しまれた。

その夜は話がまとまらず、数日をすぎて、おしもの方から安藤のもとへ嫁がせてくれるように、と頼みこんできた。若い木村よりも、四十男の安藤の方が手堅そうだから、というのである。唐沢氏からも聞かされたのであろうが、それがおしもの望みとして頼まれれば、拒むことの出来ない夫人の立場であった。早速に、園子を招んで、この旨を伝える。園子から安藤へ話を橋渡しして、やがて、当の安藤久七が羽織袴に威儀を正して、唐沢邸へお目見得にやって来る。頭を熊さん刈りにしているのが気にいらないだけで、あとは仲々見映えのする色男だと、おしもも上機嫌である。