Classici giapponesi con furigana
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よいてがみ
好い手紙
岡本 かの子
Leggi 好い手紙 (よいてがみ) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2105 caratteri · 5 schermate
場所、東京、山の手の一隅、造作いやしからねど古りたる三間程の貸家建の茶の間、ささやかなれど掃き浄められて見好げなる庭を前にす。
晴れたる夏の朝、食後卓上の器具とりかたづけられぬ前、卓上には器具の真中に夏花の一輪挿し。室内の壁間ところどころに金縁、或は白木の手製らしき額縁にはめられたる油画。ある一二ヶ所にヴァイオリン一二挺掛けてある。
男二十四五、武骨なれども垢抜けたる風貌、洗いたての白地単衣、煙草をくゆらして長閑なる様。三分間の後、女出で来る。
女三十前後、美貌、ただし眼がかなり強い。片手に食後の果物皿、片手に、水色の小形封筒を持ち居る。派手なれどレファインされたる品よき着附、雪白のエプロン、男の傍に坐る。果実皿を卓上に置き封筒を突附ける様に男の前へ置く。男、一寸あわてて直ぐ落ち付く。
女。津田良雄様へ。第三信、松野すみ子よりって一たい何なの。
男。(封筒を一寸見やりて。)何でもありませんよ、こんなもの。
女。なんでもないことが……しかも第三信じぁないの。
男。(落ちつきて。)そうですよ。三本目の手紙ですもの。
女。まあ、私が外出勝ちなのを好いことにして、もう三本も手紙のやりとりしてるんですか。