Classici giapponesi con furigana
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ようば
妖婆
Leggi 妖婆 (ようば) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 37.473 caratteri · 73 schermate
二人は思わず顔を見合せると、ほとんど一秒もためらわずに、夏羽織の裾を飜しながら、つかつかと荒物屋の店へはいりました。そのけはいに気がついて、二人の方を振り向いたお敏は、見る見る蒼白い頬の底にほのかな血の色を動かしましたが、さすがに荒物屋のお上さんの手前も兼ねなければならなかったのでしょう。軒先へ垂れている柳の条を肩へかけたまま、無理に胸の躍るのを抑えるらしく、「まあ。」とかすかな驚きの声を洩らしたとか云う事です。すると泰さんは落着き払って、ちょいと麦藁帽子の庇へ手をやりながら、「阿母さんは御宅ですか。」と、さりげなく言葉をかけました。「はあ、居ります。」「で、あなたは?」「御客様の御用で半紙を買いに――」――こう云うお敏の言葉が終らない内に、柳に塞がれた店先が一層うす暗くなったと思うとたちまち蚊やり線香の赤提燈の胴をかすめて、きらりと一すじ雨の糸が冷たく斜に光りました。と同時に柳の葉も震えるかと思うほど、どろどろと雷が鳴ったそうです。泰さんはこれを切っかけに、一足店の外へ引返しながら、「じゃちょいと阿母さんにそう云って下さい。私がまた見てお貰い申したい事があって上りましたって――今も御門先で度々御免と声をかけたんだが、一向音沙汰がないんでね、どうしたのかと思ったら、肝腎の御取次がここで油を売っていたんです