Classici giapponesi con furigana
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ようふ
妖婦
織田 作之助
Leggi 妖婦 (ようふ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6892 caratteri · 14 schermate
ところが四年生になって間もなくのある日、安子は仕立屋の伜の春ちゃんの所へ鉛筆と雑記帳を持って行き、「これ上げるから、あたいの好い人になってね」そう言って春ちゃんの顔をじっと媚を含んだ眼で見つめた。
春ちゃんは無口な大人しい子供で、成績もよく級長であったから、やはり女の方の級長をしている雪子という蒼白い顔の大人しい娘を「おれの娘」にしていたが、思わず、「うん」とうなずいて、その日から安子の「好い人」になってしまった。
その日学校がひけて帰り途、友達のお仙が「安ちゃん、あんたどうして健坊をチャイしたの」と訊くと、安子はにいっと笑って、「お仙ちゃん、誰にも言わない? 言っちゃいけないことよ。――あたい本当は一番になろうと思って勉強したんだけれど、また十番でしょう。くやしいからあたい一番になる代りに、一番の春ちゃんを好い人にしたのよ。これ内緒よ、よくって?」
「だってあんたには健坊がいるじゃないの」
「健坊は雪ちゃんをいい娘にすればいいさ」
そういった途端、うしろからボソボソ尾行て来た健坊がいきなり駈けだして、安子の傍を見向きもせずに通り抜け、物凄い勢いで去って行った。