Classici giapponesi con furigana
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うばすて
姥捨
Leggi 姥捨 (うばすて) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.853 caratteri · 29 schermate
嘉七はくるり廻れ右して、
「おばさん、握手。」
手をつよく握られて老妻の顔には、気まり悪さと、それから恐怖の色まであらわれていた。
「酔ってるのよ。」かず枝は傍から註釈した。
酔っていた。笑い笑い老妻とわかれ、だらだら山を下るにしたがって、雪も薄くなり、嘉七は小声で、あそこか、ここか、とかず枝に相談をはじめた。かず枝は、もっと水上の駅にちかいほうが、淋しくなくてよい、と言った。やがて、水上のまちが、眼下にくろく展開した。
「もはや、ゆうよはならん、ね。」嘉七は、陽気を装うて言った。
「ええ。」かず枝は、まじめにうなずいた。
路の左側の杉林に、嘉七は、わざとゆっくりはいっていった。かず枝もつづいた。雪は、ほとんどなかった。落葉が厚く積っていて、じめじめぬかった。かまわず、ずんずん進んだ。急な勾配は這ってのぼった。死ぬことにも努力が要る。ふたり坐れるほどの草原を、やっと捜し当てた。そこには、すこし日が当って、泉もあった。
「ここにしよう。」疲れていた。
かず枝はハンケチを敷いて坐って嘉七に笑われた。かず枝は、ほとんど無言であった。風呂敷包から薬品をつぎつぎ取り出し、封を切った。