Classici giapponesi con furigana
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うばすて
姥捨
Leggi 姥捨 (うばすて) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.853 caratteri · 29 schermate
舞台よりも、かず枝の姿のほうを多く見ていた。黒い風呂敷包を胸にしっかり抱きかかえて、そのお荷物の中には薬品も包まれて在るのだが、頭をあちこち動かして舞台の芸人の有様を見ようとあせっているかず枝も、ときたまふっと振りかえって嘉七の姿を捜し求めた。ちらと互いの視線が合っても、べつだん、ふたり微笑もしなかった。なんでもない顔をしていて、けれども、やはり、安心だった。
あの女に、おれはずいぶん、お世話になった。それは、忘れてはならぬ。責任は、みんなおれに在るのだ。世の中のひとが、もし、あの人を指弾するなら、おれは、どんなにでもして、あのひとをかばわなければならぬ。あの女は、いいひとだ。それは、おれが知っている。信じている。
こんどのことは? ああ、いけない、いけない。おれは、笑ってすませぬのだ。だめなのだ。あのことだけは、おれは平気で居られぬ。たまらないのだ。
ゆるせ。これは、おれの最後のエゴイズムだ。倫理は、おれは、こらえることができる。感覚が、たまらぬのだ。とてもがまんができぬのだ。
笑いの波がわっと館内にひろがった。嘉七は、かず枝に目くばせして外に出た。