Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
英臣は苔蒸せる石の動かざるごとく緘黙した。
一声高らかに雉子が啼くと、山は暗くなった。
勘助井戸の星を覗こうと、末の娘が真先に飜然と上って、続いて一人々々、名ある麗人の霊のごとく朦朧として露われた途端に、英臣はかねてその心構えをしたらしい、やにわに衣兜から短銃を出して、衝と早瀬の胸を狙った。あわやと抱き留めた惣助は刎倒されて転んだけれども、渠危し、と一目見て、道子と菅子が、身を蔽いに、背より、胸より、ひしと主税を庇ったので、英臣は、面を背けて嘆息し、たちまち狙を外らすや否や、大夫人を射て、倒して、硝薬の煙とともに、蝕する日の面を仰ぎつつ、この傲岸なる統領は、自からその脳を貫いた。
抱合って、目を見交わして、姉妹の美人は、身を倒に崖に投じた。あわれ、蔦に蔓に留まった、道子と菅子が色ある残懐は、滅びたる世の海の底に、珊瑚の砕けしに異ならず。
折から沖を遥に、光なき昼の星よと見えて、天に連った一点の白帆は、二人の夫等の乗れる船にして、且つ死骸の俤に似たのを、妙子に隠して、主税は高く小手を翳した。
その夜、清水港の旅店において、爺は山へ柴苅に、と嬢さんを慰めつつ、そのすやすやと寐たのを見て、お蔦の黒髪を抱きながら、早瀬は潔く毒を仰いだのである。