Classici giapponesi con furigana
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こをつれて
子をつれて
葛西 善蔵
Leggi 子をつれて (こをつれて) di 葛西 善蔵 (かさいぜんぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.970 caratteri · 34 schermate
つまり偶然に、斯うした傷物が俺に当ったという訳だ……」
それが当然の考え方に違いなかった。併し彼は何となく自分の身が恥じられ、また悲しく思われた。偶然とは云え、斯うした物に紛れ当るということは、余程呪われた者の運命に違いないという気が強くされて――
彼は、子供等が庭へ出て居り、また丁度細君も使いに行ってて留守だったのを幸い、台所へ行って擂木で出来るだけその凹みを直し、妻に見つかって詰問されるのを避ける準備をして置かねばならなかった。
それから二三日経って、彼はKに会った。Kは彼の顔を見るなり、鋭い眼に皮肉な微笑を浮べて、
「君の処へも山本山が行ったろうね?」と訊いた。
「あ貰ったよ。そう/\、君へお礼を云わにゃならんのだっけな」
「お礼はいゝが、それで別段異状はなかったかね?」
「異状? ……」彼にもKの云う意味が一寸わからなかった。
「……だと別に何でもないがね、僕はまた何処か異状がありやしなかったかと思ってね。……そんな話を一寸聞いたもんだから」
斯う云われて、彼の顔色が変った。――鑵の凹みのことであったのだ。
それは、全く、彼にも想像にも及ばなかった程、恐ろしい意外のことであった。