Classici giapponesi con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate
家財道具を売ってその土地を去る。つまり世帯じまいをする、という話はあるが、引越して来てすぐに家財道具を売る、という例はあまり例がないだろう。――しかもそれらは、まだ新しそうなうえに高価らしい品にみえた。鉄の釜、大きな鉄鍋、南部の鉄瓶、金銀の象眼のある南部鉄の火箸。また桑材の茶箪笥、総桐の長火鉢、鏡台、春慶塗の卓その他で、小田滝三は眼をむいた。
「こういう出物になると」小田滝三は尊敬のあまりしりごみをして云った、「とてもわたし独りでは仕切りきれません、たて場に有力者がいますから、それに来てもらってもいいでしょうか」
島さんはよかろうと答えた。
「おい、大儲けだぞ」うちへ帰った小田滝三は、昂奮のあまり息をはずませて妻に云った、「何年にもお眼にかかったことのねえ大きな世帯じまい――じゃあねえな、引越して来たばかりなんだからな、こんなのはなんて云うんだろう」
立場から呼ばれて来た有力者というのは、さすが有力者だけあって具眼の士らしく、それらの品を見てもたじろぐようすは少しもなかった。初めにひとわたり眺めまわし、それからおもむろに、これと思わしい物を手に取ってみたが、それはほんの二つか三つで、あとは興味もないというふうに、向き直ってタバコに火をつけた。