Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

にもかかわらず、ここへ引越して来るとほどなく、近所のかみさんたちはかつ子が夫婦の実子でないことに気づいた。

それは四年まえで、かつ子はまだ十一歳だったが、学校へいっている時間をべつにすると、かつ子のはたらいている姿を見ないことがないし、その動作には少女らしい愛嬌や明るさがなく、あまりにてきぱきとおとなめいていて、鞭ででも躾けられたかと思われるくらいであった。

「なんだろう、あの子」その当時よく近所のかみさんたちは云ったものだ、「なにを云ってもあのきみの悪い眼でじろっと見るばかりで、返辞もろくさましやあしない、唖つんぼかね」

「いじめて育てられたせいだよ、用心ぶかくなって、誰にもなじめないし、誰も信用できなくなってるのさ」

幼いときのことは不明だが、ここへ住みついて以来、おたねとかつ子の関係は、じつの母子でないばかりでなく、親しみも愛情もない、ということが誰にでも感じられた。

おたねは亭主にだけ従順なわけではなく、身のまわりでおこるすべての事物を従順に受けいれ、聖職者が神意にさからうことを恐れるように、どんな事にも決してさからおうとはしなかった。――かつ子が自分になつかなければ、なつかないことを受けいれた。