Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

きせつのないまち

季節のない街

山本 周五郎

Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

光子の借りている三帖には、薄い蒲団が二枚と、風呂敷包が二つあるだけで、家財らしい物はなにもなかった。

――あたしいやな結婚をしいられたから家出をして来たの、と光子は云った。箱入り同様に育てられたので、生活をするのになにが必要なのかまったくわからない、まるで河童が木から落ちたみたようなものよ。

――でも愛しあっていればお臍で茶も沸くっていうでしょ、当分これで新婚気分に満足しましょ、と光子は云った。

こうして同棲生活にはいったのであるが、彼は勤めながらの夜間大学生であり、光子は大衆食堂のウェイトレスであって、たしかに、家財道具はなくとも茶ぐらいは飲めた。お臍で沸かせるかどうかはためしたことはないが、夜間大学から帰った彼が、ノートの整理などをしていると、大衆食堂の勤めを終って帰って来る光子が、客の食い残した料理や酒などを、ちゃぶ台の上に並べて、二人の慎ましい深夜の饗宴をひらくのであった。

饗宴はたしかに慎ましやかなものだったが、光子の口から奔流のようにほとばしり出る奇っ怪な作り話は、その不断連続性と、内容のとらえがたき飛躍性とで、極めて多彩な伴奏効果をあらわし、早くも福田くんをがっちりと絞めおとしたのであった。