Classici giapponesi con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate
――本当に奇妙なことだが、みんなが生きていて、いっしょにくらしていたときより、夜なかに、いまは亡きかれらと話しあうときのほうが、はるかに現実的であり、また、なまなましいたのしさが感じられる、とその年寄は云うのであった。
「生きていればこそだね、とあたしは云ってやった」たんば老は微笑した、「――べつの言葉で云えば、おまえさんが生きているあいだは、その人たちも生きているわけだ、こういうことはそうざらにあるものじゃないらしいな」
その年寄は、なるほど、といいたげに頷き、暫くじっと考えこんでいたが、やがて心配そうに、いまの薬は一時間たつと効くんだなと質問した。そうだ、あと十分もすれば効きめがあらわれる筈だ。その年寄はまた考えこんだが、顔色がしだいに悪くなり、自分の手をつくづくと見まもったのち、もう取り返しはつかないのかねと云った。
「いや、とあたしは答えた、薬というものには必ず、その効きめと反対な性質の薬がある、たとえば下痢を止める薬があれば通じをつける薬があるし、胃酸を中和する薬と、逆に胃酸を出すための薬がある、また」
そう云うのを遮って、その年寄は「いまの毒薬にもそういう薬があるか」