Classici giapponesi con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate
とたいそうせきこんできいた。
「むろん毒薬には解毒剤というものがあるよ、とあたしは答えた、いま手許に持っているかどうか思いだせないが、――と云いかけたとき、その年寄はあたしにとびついてきたね、あんまり猛烈な勢いだったんで、あたしは絞め殺されるのかと思ったくらいだった」たんば老は片手で自分の首を押えながら云った、「さあ、その解毒剤をすぐに出せ、すぐに出せ、ってきいきい声でどなるんだな、さもないと人殺しの罪で訴えるぞ、いや、嘘じゃない、その年寄は本当にそうどなりたてたよ」
たんば老はその年寄に解毒剤を与えた。なかなかみつからないようなふりをして、その年寄に近づく死の恐ろしさを充分にあじあわせてから。薬の一つは解熱剤、一つは胃腸薬であって、云うまでもなくその年寄は無事に帰った。
「人殺しとはねえ」と云って小田滝三は笑った、「自分で死にたいと頼んでおきながら人殺しとは、ずいぶんうろたえたもんだな、やっぱり人間はいざ死ぬとなると、気取ってばかりもいられないんだな」
小田滝三はまもなく帰った。なかまを叩っ殺すといきまいたことは、もう忘れてしまったように。
小田滝三は後日、寒藤清郷に向ってそのときの話をし、たんばさんは人をくったひとだ、と云って感心した。