Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate
西はめずらしそうに、牛額と称する蕈の塩漬などを試みながら、「僕は碓氷を越す時に――一昨日だ――真実に寂しかったねえ。彼方までは何の気なしに乗って来たが、さあ隧道に掛ったら、旅という心地が浮いて来た。あの隧道を――君、そうじゃないか――誰だって何の感じもしないで通るという人は有るまいと思うよ。小泉君が書籍を探しに東京へ出掛けて、彼処を往ったり来たりする時は、どんな心地だろう」
客を見送りながら、三吉は名残惜しそうに停車場まで随いて行った。寒く暗い停車場の構内には、懐手をした農夫、真綿帽子を冠った旅商人、それから灰色な髪の子守の群などが集っていた。
西と三吉とは巻烟草に火を点けた。記者もその側に立って、
「僕が初めて西君と懇意に成ったのは、何時頃だっけね。そうだ、君が大学へ入った年だ。僕はその頃、新聞屋仲間の年少者サ――二十の年だっけ――その頃に最早天下の大勢なんてことを論じていたんだよ」
「今は余程分っていなくちゃならない――ところが、君、やっぱり今でも分らないんだろう」と西が軽く笑った。
記者は玉子色の外套の隠袖へ両手を入れたまま、反返って笑った。