Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

往時は橋本の家の経済まで薬方の衆が預って、お種は奥を守りさえすれば好い人であった。

翌日お種は森彦の宿の方へ移ることにした。聞いてみると、嫁の側にも落付いていることが出来なかったのである。

彼方是方とお種は転々して歩いた。森彦の宿に二週間ばかり置いて貰って、寺島の母が国へ帰った頃に、漸く嫁の方へ一緒に成ることが出来た。毎日々々雨の降った揚句で、泥濘をこねて戻って来ると、濡れた往来はところどころ乾きかけている。店頭の玻璃戸はマブしいほど光っている。薄暗い壁に添うて楼梯を昇ると、二階の部屋の空気は穴の中のように蒸暑かった。丁度豊世はまだ簿記の学校の方に居る時で、間に合せに集められた自炊の道具がお種の眼に映った。衣紋竹に掛けてある着物ばかりは、室内の光景に不似合なものであった……お種は、何処へ行っても、真実に倚凭れるという柱も無く、真実に眠られるという枕も無くなった。

その日からお種は豊世と二人で、この二階に臥たり起きたりした。姑と嫁の間には今までに無い心が起って来た。お種は、自分が夫から受けた深い苦痛を、豊世もまた自分の子から受けつつあることを知った。