Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate
心臓形をした雪下の葉もその周囲に蔓延っている。
この場所を択んで、お仙は盥を前に控えながら、何か濯ぎ物を始めていた。下婢のお春も井戸端に立って、水を汲んでいた。お春は、ちょっと見たところこう気むずかしそうな娘で、平常店の若い番頭や手代の顔を睨み付けるような眼付をしていたが、しかしそれは彼女が普通の下女奉公と同じに見られまいとする矜持からであった。こうして、お仙相手に立話をしている時なぞは、最早年頃の娘らしさが隠されずにある。彼女とても、濃情な土地の女の血を分けた一人である。
三吉はお仙に言葉を掛けて、暫時そこに立っていた。丁度正太が、植木いじりでもしたという風で、土塗れの手を洗いに来た。お春は言付けられて、釣瓶から直に若旦那の手へ水を掛けて、すこし紅くなった。お仙も無心に眺めていた。
手を洗った後、正太は三吉叔父と一緒に成った。二人は話し話し母屋の方へ帰って行った。
手桶を担いだお春は威勢よく二人の側を通った。百姓の隠居も会釈して通った。隠居の眼は正太に向って特別な意味を語った。「若旦那様――お前さまは唯の若いものの気でいると違うぞなし……お前さまを頼りにする者が多勢あるぞなし……行く行くはお前様の厄介に成ろうと思って、こうして働けるだけ働いている老人もここに一人居るぞなし……」