Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate
「ア――木曾川の音がよく聞える」
三吉は耳を澄まして聞いた。
間もなくお種は弟を連れて、店先の庭の方へ降りた。正太が余暇に造ったという養鶏所だの、桑畠だのを見て、一廻りして裏口のところへ出ると、傾斜は幾層かの畠に成っている。そこから小山の上の方の耕された地所までも見上げることが出来る。
二人は石段を上った。掩い冠さったような葡萄棚の下には、清水が溢れ流れている。その横にある高い土蔵の壁は日をうけて白く光っている。百合の花の香もして来る。
姉は夏梨の棚の下に立って、弟の方を顧みながら、「この節は毎朝早く起きて、こうして畠の上の方まで見て廻る。一頃とは大違いで、床に就くようなことは無くなった――私も強くなったぞや」
「姉さんは何処か悪かったんですか」と三吉は不審そうに。
「ええ、持病で寝たり起きたりしてサ……」
「持病とは?」
姉は返事に窮って、急に思い付いたように歩き出した。「まあ、病気の話なぞは止そう。それよりか私が丹精した畠でもお前さんに見て貰おう。御蔭で今年は野菜も好く出来ましたよ」
野菜畠を見せたいというお種の後に随いて、弟も一緒に傾斜を上った。