Classici giapponesi con furigana
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ふじとざん
富士登山
高浜 虚子
Leggi 富士登山 (ふじとざん) di 高浜 虚子 (たかはまきょし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4282 caratteri · 9 schermate
御殿場の町を通り抜けると馬はいつか森林の中に這入って、提灯の光に見える女馬子の脊中と馬の顔や首のあたりの他は殆んど何ものも目に入らなかった。私は只乱雑に響く自分の馬や他の馬の足音を聞きながら、夜半の森林の中を通りつつあった。
われ等が曙の色を認めたのは、もう森林を通りぬけて桔梗や撫子や女郎花の咲き誇っている平原の中を行きつつある時であった。御殿場あたりなどからみると、もう余程登って来ているのであろうが、馬上に居るわれ等は恰も秋の平野を行きつつあるような心持がした。朝日の色は美しかった。雲が真ッ赤に染って秋草には露が光っていた。此時靄の霽れるのに従って打ち仰がれた富士の峯は、意外にも頗る無格好のものであった。下界から見る芙蓉の峯とは思いもつかぬような醜い形と色とをしていた。初め夜の明け切らぬうちは、それは富士の一部分だけしか見えて居らぬので、夜の明けるに従って白扇を懸けた富士の美しい姿を見ることが出来るものと予期して居ったのであるが、今になってみると其富士の一部分と思ったものが、富士の全体であったので、
「あんな汚い、あんな低い山か。」というような軽侮の念が起らずには居なかった。