Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ふじ
富士
岡本 かの子
Leggi 富士 (ふじ) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
美しく偉いだけで親さえ親しめる隙が無さそうである。
「この娘を東国へ旅人の手に托けて送ったときの気持に戻って、いっそ、この娘を思い捨てるか。それにしてはこれだけになったものを、あまりに惜しい気もする。第一、山神の眷属の中からこれ程の女神を出したことは、山の祖神としていかなる気持の犠牲を払っても光栄とすべきではないか」
そう思うまた下から、親ごころの無条件な気持でもって「娘よ」と呼びかけても、かの女の雪膚の如き玲瓏な性情に於て対象に立ち完全そのものの張り切り方で立ち向われて来るときの、こなたの恥さえ覚えるばかりの手持無沙汰を想像するとき、やはり到底、親子としては交際い兼ねる女なのではあるまいかと、懸念がすぐ起って来るのでもあった。
とつおいつ思いあぐねるうち、いよいよ無力の孩児としての感じを自分に深めて来た老翁は、いまは何もかもかなぐり捨て、ひたすら娘に縋り付き度くなった。それは福慈神に向って娘としてよりも母らしいものへの寄する情に近かった。偉れて立優っているこの女神に対しこの流れの方向の感情に心を任せるとき、却って気持は自然に近いことを老翁は発見した。