Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さむさ

寒さ

芥川 竜之介

Leggi 寒さ (さむさ) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3972 caratteri · 8 schermate

Aozora Bunko

ある雪上りの午前だった。保吉は物理の教官室の椅子にストオヴの火を眺めていた。ストオヴの火は息をするように、とろとろと黄色に燃え上ったり、どす黒い灰燼に沈んだりした。それは室内に漂う寒さと戦いつづけている証拠だった。保吉はふと地球の外の宇宙的寒冷を想像しながら、赤あかと熱した石炭に何か同情に近いものを感じた。

「堀川君。」

保吉はストオヴの前に立った宮本と云う理学士の顔を見上げた。近眼鏡をかけた宮本はズボンのポケットへ手を入れたまま、口髭の薄い唇に人の好い微笑を浮べていた。

「堀川君。君は女も物体だと云うことを知っているかい?」

「動物だと云うことは知っているが。」

「動物じゃない。物体だよ。――こいつは僕も苦心の結果、最近発見した真理なんだがね。」

「堀川さん、宮本さんの云うことなどを真面目に聞いてはいけませんよ。」

これはもう一人の物理の教官、――長谷川と云う理学士の言葉だった。保吉は彼をふり返った。長谷川は保吉の後ろの机に試験の答案を調べかけたなり、額の禿げ上った顔中に当惑そうな薄笑いを漲らせていた。

「こりゃ怪しからん。僕の発見は長谷川君を大いに幸福にしているはずじゃないか?――堀川君、君は伝熱作用の法則を知っているかい?」