Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さむはし

寒橋

山本 周五郎

Leggi 寒橋 (さむはし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.416 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

この伊兵衛の子を産むんだ」

ああとお孝は息をのんだ。

「時三は私を庇って呉れた、親の恥を身に衣て呉れたんだ、おたみにもそう云い含めたらしい、……おまえにも決して云うなと、あれは私にそう約束させた、……だから黙っていたんだ、けれど、もうこんどは私もいけないという気がする、このままでは死ねないからうちあけたんだ、お孝、……わかったか」

「――お父つぁん」

お孝はとつぜん父の手を握り、その手に頬ずりをしながら泣きだした。

「――うれしい、お父つぁん、うれしいわ、あたしうれしい」

そしてまるで笑うような声で遠慮もなく泣いた。伊兵衛は眼をつぶって、そっと頷きながら云った。

「おまえが苦しんでいることは、私はよく知っていた、……さぞ辛かったろう、身も世もない思いだったろう、……だが事情がわかってみれば、私のあやまちだということがわかれば、もうその苦しさもなくなる筈だ」

お孝はまだ泣きながら、自分の涙で濡らした父の手の上で頷いた。

「人間は弱いもんだ、気をつけていても、ひょっと隙があれば、自分で呆れるようなまちがいをしでかす、……だれかれと限らない、人間にはみんなそういう弱いところがあるんだ、……ここをよく覚えておいて呉れ、いいか、……そんなこともあるまいが、長いあいだには、時三も浮気ぐらいするかもしれない、……そのときは堪忍