Classici giapponesi con furigana
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てらさかきちえもんのとうぼう
寺坂吉右衛門の逃亡
直木 三十五
Leggi 寺坂吉右衛門の逃亡 (てらさかきちえもんのとうぼう) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9243 caratteri · 19 schermate
太夫は喋るまい。第一に俺は下郎だ。士分の奴でさえ、間際に、逃出した者が、四五人もいるんだ。何が卑怯なもんか。喋らないとすれば――一思案だ――国へ、討入の顛末を知らせるため、一人抜けて出た? 成る程うまい口実だ――もし、皆が助命されたとしたなら? 何うせ、役に立たんから、討入を見届けて、国許へ知らせに参りました、と、こういってもいいし、もし、皆が切腹か、打首にでも成ったなら、しめたものだ。誰が、何をいおうと、俺の口先一つで何んとでもなる。ちゃんと、名の入っている書付が、お上の手にあるんだからな――助命か、切腹か。それを見届けてから国へ走るか? 先に走るか?)
寺坂は、自分を、同志の中へ加えたくなってきた。
(四十六人、皆無事だ。そうと知ったなら、討入っておくのだった。いいや、討入っていたなら、一緒に、切腹かもしれん――誰も、あの時、俺の逃げるのを見てはいなかったんだ。口実は、何んとでもつく――よし、俺は、仲間へ入ってやろう。入れることにしてやろう。そうでもしなけりゃ、埋合せがつかん。人を、虫けらみたいにしやがって、その虫けらが、一番いい籤を引きそうだ)