Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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てらだとらひこのついそう

寺田寅彦の追想

中谷 宇吉郎

Leggi 寺田寅彦の追想 (てらだとらひこのついそう) di 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.683 caratteri · 40 schermate

Aozora Bunko

当時の私には震災の外にも或る事情があって、時々どうにもならない切羽つまった気持に襲われることがあった。そういう時には曙町の応接間へ出かけてゆく。そして十二時過ぎまで、ディノソウルスの卵の話や、パブロワの踊りの話をきく。そうすると気持がすっかり新しくなって、物理学に対する熱情が蘇って来るような気がした。今から考えてみれば、先生には随分迷惑な話であった。この頃になって先生の日記の中で「夜中谷君来るまた十二時過ぎまで話してゆく」というような文字に出遭うと、しみじみと申し訳ないことをしたものだという気がする。

この震災の後には、先生はまだ充分恢復し切らぬ身体で、あの大火災に伴った旋風の研究に、東京市内の焼跡を方々調査して歩かれた。それよりも関東大震災と寺田寅彦とが、私の頭の中で結びついているのは、大分後になって聞いた話であるが、あの時の先生の体験談である。丁度あの地震の時に、先生は二科展へ行っておられた。津田青楓さんと喫茶店で休んでいると、突然地震があった。「大分大きいので、すぐこれは大変だと思ったね。部屋の天井の隅のところが、柱がくっついたり離れたりするので、こういう木造建築では駄目だと思ったよ。