Classici giapponesi con furigana
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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第二巻 (えいがじだい) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 207.099 caratteri · 419 schermate
それで結局、なんらの異議もなくこの象は狂気しているという事が人間の仲間から仲間へと伝えられる。その間に象の狂暴な行為はいろいろに誤り伝えられるが、そのたびごとに少しずつ悪いほうへ悪いほうへと変化して行くのが通則である。
この善良な人間たちは暇に任せて象のその後の行動に注目する。そうして彼らの期待に合うような象の行為を発見する事の満足を求めようとするのである。その満足が得られない場合には、それが得られそうな機会を積極的に作る事さえいとわない。なるほどこいつは気違いだという事がふに落ちるまでは安心ができないのである。考えてみるとはなはだ不可思議な心理ではあるが、畢竟は人間がその所信に対する確証を求めようとするまじめな欲求にほかならないかもしれない。
それはどうでもいいが、この場合迷惑至極なのは象である。腹が立っても、どうする事もできないところへ、こういう境遇に置かれてプレジュディスのめがねの焦点になっては全くやるせがない。もしも一つ所に象の仲間がおおぜいいて、そして仲間どうしで話をする事ができたらそれならなんでもない。そうなれば象仲間で人間のほうを気違いにしてしまって、そして象どうしで仲よくしていればよいのであるが、悲しい事には、この象にはそういう自分の世界が恵まれていなかった。