Classici giapponesi con furigana
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あひるとさる
寺田寅彦随筆集 第五巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第五巻 (あひるとさる) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 194.515 caratteri · 389 schermate
と言うのを「悲しむべき事情が身辺に迫ったから」という意味に解釈する、たとえば自身に最も親しい者が非業の死をとげたからというふうに理解すると、それはたしかに泣くことの一つの条件にはなるが、それだけでは泣くための必要条件は決してそろわないのである。たとえば、ある書物に引用された実例によると、ある医者は、街上でひかれた十歳になるわが子の瀕死の状態を見ても涙一滴こぼさず、応急の手当に全力を注いだ。数時間後に絶命した後にもまだ涙は見せなかった。しばらくして後にその子の母から、その日の朝その子供のしたあるかわいい行動について聞かされたときに始めて流涕したそうである。これと似た経験はおそらく多数の人がもち合わせていることと思われる。
テニスンの詩「プリンセス」に「戦士の亡骸が運び込まれたのを見ても彼女は気絶もせず泣きもしなかったので、侍女たちは、これでは公主の命が危ういと言った、その時九十歳の老乳母が戦士の子を連れて来てそっと彼女のひざに抱きのせた、すると、夏の夕立のように涙が降って来た」というくだりがある。
以下はある男の告白である。
「自分が若くて妻をうしなったときも、ちっとも涙なんか出なかった。