Classici giapponesi con furigana
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しょうけい
小景
宮本 百合子
Leggi 小景 (しょうけい) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7323 caratteri · 15 schermate
そこに、私のフェイボリットが二つあった。
一つは、電気器具販売店、一つは、仏蘭西香水の売店。
どちらも一階の往来に面した処にあった。真鍮の太い手摺にぴったりよって立ち、私は、ぼんやり空想の世界に溶け込む。
ああ、あの高貴そうな金唐草の頸長瓶に湛えられている、とろりとした金色の液を見よ。揺れると音が立ち、日が直射すると虹さえ浮き立ちそうな色だ。
彼方の清らかな棚におさまっている瀟洒な平瓶。薄みどりの優雅な花汁。
東洋趣味と鋭い西洋趣味との特殊な調和を見せている黒地総花模様の飾瓶などを眺めていると、私の胸には複雑な音楽が湧いて来た。
亢奮が、私をじっとさせて置かない。
声にならない音律に魂をとりかこまれながら、瞳を耀かせ、次の窓に移る。
その間にも、私の背後に、活気ある都会の行人は絶えず流動していた。
通りすがりに、強い葉巻の匂いを掠めて行く男、私の耳に、きれぎれな語尾の華やかな響だけをのこして過る女達。
印袢纏にゴム長靴を引ずった小僧が、岡持を肩に引かつぎ、鼻唄まじりで私の傍によって来た。どんな面白いものを見ているのか、と云う風で。
彼は、一寸立ち止る。