Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こむらたんさい

小村淡彩

宮本 百合子

Leggi 小村淡彩 (こむらたんさい) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.488 caratteri · 23 schermate

Aozora Bunko

彼は、何事かを直覚したように感じた。そして、店まで引連れて来たのであった。

駐在は、ねつい口調でろくを訊問した。

「お前の姓名は何というんだ」

ろくは、すっかり畏れ、蒼いむくんだ顔をあげて駐在の顔ばかり見つめた。

「苗字は何というのか、お前の」

「……山田」

「名は?」

「――ろく」

「いくつだ」

「二十三」

いしは、駐在がこんな不意のときでも、ちゃんと手帳を出し、一々書きつけるのを、憎らしいと思った。

「誰の世話で来たのか、この家に」

いしが、愛素を失うまいと口を出した。

「博労の重次さんが、手前で困ってるのを見かねて、ほんの目見得につれて来てくれたんですよ。まだ一月もおりませんのです」

駐在は、いしを見向きもせず、訊問をつづけた。

「お前、さっき××寺から出て来たが、中で何をしていた?」

「まあ! ××寺へ行っていたなんて……」

「おい、何しに行っていた、ちゃんと云わないと警察につれて行って調べなきゃあならんぞ」

ろくは、哀れな顔をして泣き出した。

「御免なさい……私……」

「私がどうしたんだよ、泣いたって仕様がない、はきはきしな」

「私……」

ろくはますますしゃくり上げた。