Classici giapponesi con furigana
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こいわいのいっか
小祝の一家
宮本 百合子
Leggi 小祝の一家 (こいわいのいっか) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.193 caratteri · 31 schermate
然し、祖父ちゃんは、黙って坐り、煙草をふかしているのであった。
ところが、この祖父ちゃんも遂に他人にまざってものを喋り、馴れぬ東京の街を歩きまわらねばならないことが起って来た。A市にいた時分からよく寝ることのあったアヤが大分手のこんだ結核性の腹膜炎で病院に入れなければならなくなったのである。
勉はその頃仕事のいそがしさと身辺の事情から家に毎晩かえるということが出来なかった。乙女が、祖父ちゃんの下駄をそろえて三河島の伯父のところへやった。年はおつかつだが貞之助の伯父に当る勘吉は十何年来町役場の書記を勤め、東京にあるたった一軒の親戚であった。勇の月給十七円の中から返す約束で当座医者へ払う金をかり、役場の手づるでアヤを方面委員の手で療治させよう。やっとその智慧を搾り当てたのであった。
勘吉の三度目の女房のお石が、二三日すると、貞之助に印をおさせるために借金証書をもって、やって来た。
お石は、障子のやぶれた上り口を入るなり、
「田舎もんは仕様がないもんだねえ。家の片づけようもろくそっぽ知りゃしないんだねえ」
大仰に、色足袋を爪立てて、さもきたなそうに袂をかき合わせ、ただ一枚の座布団に坐り、ジロジロ臥ている病人のアヤやそのあたりを見廻した。