Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
悶えるように、どったりと坐ると、新兵衛は甲高く呼んだ。
「酒を運べっ。女将! おれとてお客様じゃ! 貴様が運べぬなら、おやじを呼べっ、おやじを!」
するすると襖があいて、その女将が、青ずんだ顔をのぞかせた。
しかし、のぞくにはのぞいたが、新兵衛には目もくれなかった。
「平七さんとやら、ご前がうるさいから、さきへかえれと仰有っておりますよ」
「あ、左様か。今度はさきへかえれか。そういうことになれば、そういうことにするより致仕方ござるまい。では、かえるかな……」
のっそりとした顔をして平七は、追わるるままに、また、のっそりと立ちあがった。
「まてっ。むかむかするばかりじゃ。おれも行く! ――まてっ」
いたたまらないように立ちあがると、荒々しい足音を残し乍ら、新兵衛もあとを追っていった。
しかし、そとへ出ると一緒に、その足は、行きつ戻りつして、門から離れなかった。
いくたびか、二階を睨めあげて、苛々と目を据え乍ら、思いかえし、思い直しては、また、歯を喰いしばっていたが、矢庭に腰の小刀を抜いて、平七の手に押しつけると、呻くような声で新兵衛が言った。
「頼む! こいつを持っていってくれっ」