Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうじゅうのめがね

小笠原壱岐守

佐々木 味津三

Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate

Aozora Bunko

格之進の老眼からは、滝のようにハラハラと雫が散った。

香炉を捧げ持つ手がわなわなとふるえた。

声もカスレ乍らふるえた。

「お潔ぎよいことで厶ります。只もう、只もうお潔ぎよいと申すよりほかは厶りませぬ」

「長い主従であったよな」

「…………」

「不吉じゃ。涙を見するは見苦しかろうぞ。大老も、井伊殿の御最期もそうであった。登城を要して討つは、刺客共にとって一番目的を遂げ易い機である。十五日であるかどうかを諄うきいたのもそのためじゃ。決断を急いだのもそれゆえじゃ。予を狙う刺客共もあすの来るのを、いや、今日の来るのを待ちうけておるであろう。多井!」

「はっ……」

「すがすがしい朝よな」

――カラリと晴れて陽があがった。

登城は坂下門からである。対馬守は颯爽として言った。

「供揃いさせい」

「整えおきまして厶ります」

「人数増やしたのではあるまいな」

「いえ、万が一、いや、いずれに致せ多いがよろしかろうと存じまして、屈強の者選りすぐり、二十名程増やしまして厶ります」

「要らぬ。減らせ!」

言下に斥けると、さらに颯爽として言った。

「首の座に直るには供は要らぬ。七八名で沢山ぞ。館に山村、それから道弥、――道弥はおらなんだな。