Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
水練は言うまでもないこと、早駈け、水馬、ともに、人におくれをとったことのない平七なのである。
ド、ド、ドウ、
ハイヨウ、
ド、ド、ドウ、
と乱れ太鼓のとどろく間を、三騎、五騎とうしろに引き離して、胸にくっきりと真紅の胴が、浮きつ沈みつしぶきの中をかいくぐっていったかと思うまもなく、平七の葦毛は、ぶるぶると鬣の雫を切り乍ら、一番乗りの歓呼の土手へ、おどるように駈けあがった。
ただ、夢のようなこころもちだった。
どんな叫びと顔がなだれ寄って来たか、このときぐらい平七は、旗本の家に生れたというよろこびと誇りを、しみじみと感じた一瞬はなかった。
しかし、世間は、そのよろこびをよろこびとしてくれなかった。
旗本の中堅ともなるべき若者たちが、婦女子の目をよろこばす以外に、なんの能もないような水馬の遊戯なぞに、うつつをぬかしているから、江戸勢はどこの戦いでも負けるのだ。――そういう非難と一緒に、防ごうにも防ぎきれぬ太い腕力がやって来て、なにもかもひと叩きに叩きつぶして了ったのである。
ほんとうにそれは、どうにもならぬ荒っぽい洪水のような腕力だった。匂いのあるところから匂いを奪いとり、色彩のあるところから色彩を消し落し、しずかな水だまりには、わざと石を投げこんでこの世をただ実用的なものにすればそれでいいと言ったような