Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Leggi 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.270 caratteri · 325 schermate
文楽師匠はあれから一年ばかり上方へいっていたし、こちらも端席歩きをしたり何かしていて随分掛け違って会わなかった。
何の用事だろう。
とるものもとりあえずでかけてゆくと、
「初席からお前、俺の真打席の中入り前を勤めてくんねえ、頼んだぜ」
初席とは元日からの新春の寄席。相変らずの侠気な革羽織を着てどこかへでかけようとしていた文楽師匠は、めっきり大人びてきた圓朝の細おもての顔を見てニッコリいった。
「…………」
あまりに思いがけないことで、圓朝は口が利けなかった。しばらく目の前の色白の顔をポカンと見ていた。だんだんはち切れるような嬉しさが、あとからあとから擽ったく身体全体を揺ってきた。
「ア、ありがとうございます」
思わず長い長いお辞儀をしてしまった。
そうして、あら玉の春。
真を打つことは失敗に終ったが、思いがけないこんな福音が転がり込んできたありがたさ。
狐のなく声の聞こえる場末の寄席の真打とは比べものにならないほど反響のあるギッチリ詰まっているお客の前で、思うまんまに腕の振える幸福さ。あかあかと自分の顔を照らす八間の灯のいろさえ、一段と花やかなもののあるよう感じられた。