Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Leggi 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.270 caratteri · 325 schermate
「あの姐さんならうちの師匠と似合いの夫婦だ」
口々に弟子たちがこういった。
圓朝自身もまた、そのつもりだった。なればこそ半分、自分の家のようにしてそこの二階から寄席や座敷へとかよっていたのだった。
ただその小糸にして只ひとつ、いつもしみじみと弟子たちにいうことがあった。
「うちのお師匠さん、平常はほんとうに申し分ないお人だけれど、私困ってしまうことがひとつだけあるの。噺をおこしらえなさる前の二、三日……そりゃほんとに妙に機嫌が悪くなっておしまいなすって、急にひとり言をおいいだしなすったり、部屋ン中をぐるぐるあちこちお歩きンなったり、お顔といったらそりゃもうほんとに恐しくなって。御自分は女がお産をする迄の苦しみと同じなんだよっておっしゃるけれど私、あんな私、困ることッたらないわ」
言いおえるときいつも伏せられた寂しい黒い目は、シットリ途方に暮れたよう露帯びていた。
つまりそれほど圓朝の噺へ打ち込む魂は真剣だったのだった、いずこいかなるところにおいても。
そうしてそのこと唯ひとつが、およそ圓朝にとっては生きていく上の喜び愉しみ苦しみ悲しみあらゆるものではあったのだった。