Classici giapponesi con furigana
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こさかいふぼくしスケッチ
小酒井不木氏スケッチ
国枝 史郎
Leggi 小酒井不木氏スケッチ (こさかいふぼくしスケッチ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5809 caratteri · 12 schermate
一
一
「高きに登って羅馬を俯瞰し、巨火に対して竪琴を弾じ、ホーマアを吟じた愛す可き暴王、ネロを日本へ招来し、思想界へ放火させようではないか。五百あまりの白骨が、塁々として現われようぞ。惜しい人間が幾人あろう? 一、二、三……」と指を折る。「あっ、不可ない、十人とは無いや」斯ういうことを心の中で、往々考える傲慢な私も、小酒井不木氏の前へ出ると、穏しい中年の紳士となり、カウスの先を揃えるのである。
名古屋市中区御器所町、字北丸屋八二ノ四、鶴舞公園の裏手にあたり、丘を切通した道がある。その道を見下ろした小高台に、氏の住宅は立っている。白茶色の土坡で崖崩れを防ぎ、広く前庭を取り廻わした、和洋折衷の瀟洒たる二階家、まず数段の石段を登る、玄関に通ずるコンクリイトの小径、その左手は若木の植込、その右手は書斎の外側、窓が二つ(?)光っている。玄関と書斎とは張出になり、玄関の左手が母屋の前庭、そこに一対の藤棚がある。これが大変牧歌的だ。さて私は玄関に立った。夫人か乃至はお世話をして居られる、親戚の令嬢かが案内に出られる。お二人乍ら不在の節は、氏自身姿を現わす。これは洵に恐縮である。