Classici giapponesi con furigana
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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
Leggi 少女地獄 (しょうじょじごく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.174 caratteri · 206 schermate
私はこの涯てしもない空虚の中に身を置く処がなくなったのです。
私は只今のような両親の話を洩れ聞きました夕方、御飯を戴きますと間もなく、お友達と活動を見に行くと申しまして、お母様から買って頂いたまま、まだ一度も袖を通した事のない銘仙の、馬鹿馬鹿しいくらい派手な表現派模様の袷を着まして、妹たちに気付かれないようにソッと家を抜け出しました。学校の裏門の横の空地に在るポプラの樹の蔭から、コンクリートの塀を乗り越えて、校庭の便所の蔭に飛び降りました。それくらいのことは私に取って何でもなかったのです。
私は、それから久し振りに今一度、あの廃屋の二階の籐椅子の上にユックリと袖を重ねて、あの懐かしい、淋しい空を眺めながら、静かな静かな虚無の思い出に立ち帰りましょうと思って、新しいフェルト草履を気にしいしい、人影のない、星ばかり大きい校庭の夕暗の中を、あの廃屋に近付いたのです。そうしてあの階下の土間の暗闇の中に、そっと片足を入れたのです。
その暗闇の中から突然に出て来た毛ムクジャラの男の両腕に、私はシッカリと抱締められて終ったのでした。そうして思いもかけない切ない愛の言葉を、生まれて初めて囁かれたのでした。