Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Leggi 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 83.234 caratteri · 160 schermate
「いゝや、わたしは何も要りはしない。何も彼もあなたに進ぜます。………わたしには此の人さえあれば………」
そう云って老人は又自分の顔を妻の顔から遠ざけながら、妻の額の上にかゝる髪の毛を掻きのけ、その目鼻だちへ燈火のあかりがほんのり当るようにした。こう云う時、いつも北の方は老人の節くれだった歪んだ指がわなゝきながら髪をいじくったり頬をさすったりするのを感じつゝ、おとなしく老人のするまゝになって眼を閉じているのである。それは顔の上にさす明りの晴れがましさを避けるため、と云うよりは、老人の貪るような瞳の凝視を避けるため、と云った方が適当であるかも知れない。八十に近い老人に斯様な熱情があることは、不思議と云えば不思議であるが、実はさしもに頑健を誇った此の老人も、一二年此のかた漸く体力が衰え始め、何よりも性生活の上に争われない證拠が見え出して来たので、それを自覚する老人は、一つには遣る瀬なさの餘り変に懊れているのでもあった。尤も彼の場合、その遣る瀬なさは、自分の悦楽が思うように叶えられないと云うよりは、此の若い妻に申訳ないと云う気持から来る方が多いのではあったが、………