Classici giapponesi con furigana
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しょうしょうしげもとのはは
少将滋幹の母
谷崎 潤一郎
Leggi 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 83.234 caratteri · 160 schermate
とまで云われたのがぐっと答えて、左大臣が所望とあらば、どんな物でも差出す料簡になったのであった。それに自分は、謎をかけられるまでもなく、左大臣の所望するものが何であるかを、大凡そ察し得たのであった。昨夜の左大臣は、あの御簾の方へ始終横眼を使ってばかりいた。最初はそれも控え目であったが、だん/\露骨になり、しまいには夫である自分の見ている前で、伸び上って秋波を送ったりした。………自分がいかに老耄し、血のめぐりが悪くなっているからと云って、あんなにまでされて気が付かずにいられようか。………
………国経はこゝまで記憶を辿って来て、さて、昨夜のあの時の自分の感情が妙な風に動いたことを思い出すのであった。と云うのは、時平のそう云う眼に餘る行動を見ながら、奇怪にも彼はその無礼を不愉快に感ぜず、却って幾分かうれしいような気がしていたのであった。………
………なぜ自分は嬉しかったのか。………なぜ嫉妬を感じないで、得意に感じたのだろうか。………自分は前から、あゝ云う世にも稀な人を自分が妻にしていることを、無上の幸福としていたのであるが、正直を云うと、世間がその事実に無関心でいることが物足りなくもあったのだ。