Classici giapponesi con furigana
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あきかぜとはは
尾崎士郎短篇集
尾崎 士郎
Leggi 尾崎士郎短篇集 (あきかぜとはは) di 尾崎 士郎 (おざきしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.032 caratteri · 216 schermate
暫らく経ってから私は隣室の扉のあく音を聞いた。だが、そのまま何の物音も響いて来なかった。あの男はことによると死ぬかも知れない。――そういう考えの中に私の不安はふくれあがってきたのである。しかし、それがどうしたというのだ。へたばるな。――私は何よりも悲惨に抵抗しなければならない。他人の運命に干渉することによって、私は心の中に新しい事実を築きあげたのだ。私はあらゆる悲惨の蒐集である未知の人生に向って飛びこんでゆく自分の姿を描きながら、部屋の中をぐるぐると歩き廻った。――
次の日の午後、私は穏かな午後の陽ざしの中に眼を醒ました。隣りの部屋から相場師の咳ばらいが、かすかに洩れてきたが、しかし、それすらも今は私の心の静けさをかき乱すものではなかった。壁に続いてテーブルの上には私の新しい洋服がきちんと畳んで置いてあった。