Classici giapponesi con furigana
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びょうぶはたたまれた
屏風はたたまれた
山本 周五郎
Leggi 屏風はたたまれた (びょうぶはたたまれた) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.953 caratteri · 24 schermate
六
むしろふきげんに聞いており、聞き終るとすぐに「忘れてしまえ」と云った。それはちょうどあの「式」のあとで、女がなに者であるかを訊いたときの答えと、殆んど同じ口ぶりであった。そして、父は急に不審そうな眼で彼を見、そのために北島を断わるのか、と反問した。それも理由の一つである、と弥十郎は答えた。
「ばかな」と伊与二郎は云った、「家柄を考えろ、吉村の家系には藩公の血が続いている、若げのあやまちはゆるしてやるが、そんな素姓も知れぬ女にみれんを残すことはゆるさぬ、そんなことは忘れてしまえ」
弥十郎は黙ってひきさがった。
六
父に口返しはしなかったが、北島との縁談は頑強に断わった。破談が不可能なら、自分の気の済むまで延期してもらう。もちろんその期限はきめられない、と主張した。
「よもやその女のためではあるまいな」と伊与二郎が念を押した。
弥十郎はおそれげもなく答えた、「それも慥かめてみます」
その年八月の中旬、藩公に初めて世子が生れた。信濃守政利は四十七歳になり、かくべつ病弱というわけでもなかったが、その年まで一人も子がなかった。夫人は松平氏の出で、ほかに側室がいた。