Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やまにゆきひかる

山に雪光る

小川 未明

Leggi 山に雪光る (やまにゆきひかる) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 1914 caratteri · 4 schermate

Aozora Bunko

それは、白い毛の筆でありました。

「ぼく、お習字のとき、つかう筆とよくにているな。」と、武男は、目をまるくしました。

「武坊のもよい筆だが、これとはちがっている。」と、おじいさんは、笑われました。

「ぼくのも白いね。この筆の毛は、やはり羊でない。」

「そう、羊の毛だ。」

武男は、筆をつかったあとで、かなだらいに、水をいれて洗うと、もくもくと、ちょうど汽車の煙のように、まっ黒い墨を、筆からはき出します。そして、そのあとの毛は、清らかな水をふくんで、美しい緑色に見えるのでした。

「おじいさん、どの毛でつくった筆が、いちばんよいのですか。」と、武男は、ききました。

「いちがいにいえぬが、細筆などは、たぬきの毛だろうな。」

「どうやって、たぬきをつかまえるの。」

「たぬきか。おとしや、わなでつかまえたり、また、子飼いにして育てたりするのだ。」

「山へいけば、たくさん、獣物がすんでいるのだね。」と、武男は、いいました。

「昔は、このあたりでさえ、いたちが出たものだ。」

おじいさんも、子供の時分から、町に育って、野生の動物を見る機会は、少なかったのです。

もう火ばちに火のほしい、ある日のことでした。