Classici giapponesi con furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Leggi 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.441 caratteri · 102 schermate
球は無くなっているが、土間の上の屋根裏の天窓から射し込む、青い青い空の光りで見ると、その上り框の前の土間に、血の上に灰を撒(ま)いたらしい一尺四方ばかりの痕跡が一個所残っている。その灰の痕跡は最初、堆(うずたか)かったものであろうが、血餅(ちのり)が分解して土間に吸い込まれるし、盛上った灰が又、湿気のためにピシャンコになっているので、その下に在った塵屑(ごみくず)の形を、浮彫(レリーフ)みたいに浮き出させている。マッチの棒、鼻緒の切端(きれはし)、藁切(わらきれ)など……その中に煙草の吸殻らしいものが一個、平べったく粘り付いているのが眼に付いた。多分、犯行当時は真黒な血餅の下に沈んでいたので、誰にも気付かれないまま灰を振りかけられたものであろう。
その吸殻に懐中電燈を照しかけながら、念入りに検分してみると、それは半分以上吸い残した両切(りょうぎり)煙草が、血の湿気のために腹を切って展開(ひろが)った奴で、バットかエアシップぐらいの大きさの巻きらしい。ステッキの尖端でその周囲を引っ掻いてみたが、吸口(すいくち)らしいものはどこにも見当らなかった。ただ血と灰とが混合して発生したらしい※(えぐ)い、甘い臭気がプーンとしただけであった。