Classici giapponesi con furigana
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さんけいにいくるひとびと
山谿に生くる人々
葉山 嘉樹
Leggi 山谿に生くる人々 (さんけいにいくるひとびと) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.699 caratteri · 67 schermate
という声がかかると、林田は、片手はハーモニカを離す訳にはいかないが、片手には、二月の天龍谿谷の、七十年振りの厳寒というのに、渋団扇を持って、手振り足振り、お睦ちゃんの変装で、舞台へ現われるのだった。
「ウヒャーッ」
と、身もだえするような笑いを、お睦は上げて、飯場の蒲茣蓙の上を、転げ廻った。
若い衆は、主役を林田に取られたので、といって、咄嵯にいい役の考えも浮ばないで、ニヤニヤ笑いながら見入っていた。
が、お睦は一通り転げると、まだ喉の奥で、キュッキュと、茶碗でも洗うような、笑い声を出しながら、林田に飛びついて行ったのであった。
何のために飛びつかれたのか、林田には見当がつかないので、この小男は本気に慌てちまって、逃げて歩いた。が、何しろ、顔中真っ白けに白粉は塗ってるし、女の着物は着ているし、姐さん被りまでしているので、花見時でもない、寒中、飯場の外に飛び出すという冒険は、できなかった。
とうとう小男の林田は、がっちりした体格のお睦に取り押えられて、隅の方に積んである布団の上に押しつけられた。そして姐さん被りの手拭をとり上げられた。
この遊戯が、遅くまで続けられると、林田は朝、顔を洗う間がなく、飯を食うとすぐ、丁場に駆け上がらなければならなかった。