Classici giapponesi con furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Leggi 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.846 caratteri · 96 schermate
「前の日に思い立って、翌る日は家を出て来るような、そんな旦那衆のようなわけにいかすか」
「そうとも」
「そこは女だもの。俺は半年も前から思い立って、漸くここまで来た」
これは二人の人の会話のようであるが、おげんは一人でそれをやった。彼女の内部にはこんな独言を言う二人の人が居た。
おげんはもう年をとって、心細かった。彼女は嫁いで行った小山の家の祖母さんの死を見送り、旦那と自分の間に出来た小山の相続人でお新から言えば唯一人の兄にあたる実子の死を見送り、二年前には旦那の死をも見送った。彼女の周囲にあった親しい人達は、一人減り、二人減り、長年小山に出入してお家大事と勤めて呉れたような大番頭の二人までも早やこの世に居なかった。彼女は孤独で震えるように成ったばかりでなく、もう長いこと自分の身体に異状のあることをも感じていた。彼女は娘のお新と共に――四十の歳まで結婚させることも出来ずに処女で通させて来たような唯一人の不幸なお新と共に最後の「隠れ家」を求めようとするより外にはもう何等の念慮をも持たなかった。
このおげんが小山の家を出ようと思い立った頃は六十の歳だった。