Classici giapponesi con furigana
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あるおんなのしょうがい
嵐・ある女の生涯
島崎 藤村
Leggi 嵐・ある女の生涯 (あるおんなのしょうがい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.846 caratteri · 96 schermate
その日のおげんは台所のしちりんの前に立ちながら、自分の料理の経験などをおさだに語り聞かせるほど好い機嫌でもあった。うまく煮て弟達をも悦ばせようと思うおげんと、倹約一方のおさだとでは、炭のつぎ方でも合わなかった。
おげんはやや昂奮を感じた。彼女は義理ある妹に炭のつぎ方を教えようという心が先で、
「ええ、とろくさい――私の言うようにして見さっせれ」
こう言ったが、しちりんの側にある長火箸の焼けているとも気付かなかった。彼女は掴ませるつもりもなく、熱い火箸をおさだに掴ませようとした。
「熱」
とおさだは口走ったが、その時おさだの眼は眼面におげんの方を射った。
「気違いめ」
とその眼が非常に驚いたように物を言った。おさだは悲鳴を揚げないばかりにして自分の母親の方へ飛んで行った。何事かと部屋を出て見る直次の声もした。おげんは意外な結果に呆れて、皆なの居るところへ急いで行って見た。そこには母親に取縋って泣顔を埋めているおさだを見た。
「ナニ、何でもないぞや。俺の手が少し狂ったかも知れんが、おさださんに火傷をさせるつもりでしたことでは無いで」
とおげんは言って、直次の養母にもおさだにも詫びようとしたが、心の昂奮は隠せなかった。