Classici giapponesi con furigana
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あらし
嵐
島崎 藤村
Leggi 嵐 (あらし) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.007 caratteri · 108 schermate
ただただ私は、まだ兄たち二人とのなじみも薄く、こころぼそく、とかく里心を起こしやすくしている新参者の末子がそこに泣いているのを見た。
次郎は妹のほうを鋭く見た。そして言った。
「女のくせに、いばっていやがらあ。」
この次郎の怒気を帯びた調子が、はげしく私の胸を打った。
兄とは言っても、そのころの次郎はようやく十三歳ぐらいの子供だった。日ごろ感じやすく、涙もろく、それだけ激しやすい次郎は、私の陰に隠れて泣いている妹を見ると、さもいまいましそうに、
「とうさんが来たと思って、いい気になって泣くない。」
「けんかはよせ。末ちゃんを打つなら、さあとうさんを打て。」
と、私は箪笥の前に立って、ややもすれば妹をめがけて打ちかかろうとする次郎をさえぎった。私は身をもって末子をかばうようにした。
「とうさんが見ていないとすぐこれだ。」と、また私は次郎に言った。「どうしてそうわからないんだろうなあ。末ちゃんはお前たちとは違うじゃないか。他からとうさんの家へ帰って来た人じゃないか。」
「末ちゃんのおかげで、僕がとうさんにしかられる。」
その時、次郎は子供らしい大声を揚げて泣き出してしまった。