Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらし

嵐

島崎 藤村

Leggi 嵐 (あらし) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.007 caratteri · 108 schermate

Aozora Bunko

一つは見つかったという借家の事だ。さっそく私は次郎と三郎の二人を連れて青山方面まで見に行って来た。今少しで約束するところまで行った。見合わせた。帰って来て、そんな家を無理して借りるよりも、まだしも今の住居のほうがましだということにおもい当たった。いったんは私の心も今の住居を捨てたものである。しかし、もう一度この屋根の下に辛抱してみようと思う心はすでにその時に私のうちにきざして来た。

今一つは、次郎の事だ。私は太郎から聞いて来た返事を次郎に伝えて、いよいよ郷里のほうへ出発するように、そのしたくに取り掛からせることにした。

「次郎ちゃん、番町の先生のところへも暇乞いに行って来るがいいぜ。」

「そうだよ。」

私たちはこんな言葉をかわすようになった。「番町の先生」とは、私より年下の友だちで、日ごろ次郎のような未熟なものでも末たのもしく思って見ていてくれる美術家である。

「今ある展覧会も、できるだけ見て行くがいいぜ。」

「そうだよ。」

と、また次郎が答えた。

五月にはいって、次郎は半分引っ越しのような騒ぎを始めた。何かごとごと言わせて戸棚を片づける音、画架や額縁を荷造りする音、二階の部屋を歩き回る音なぞが、毎日のように私の頭の上でした。