Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じゅんさじしょく

巡査辞職

夢野 久作

Leggi 巡査辞職 (じゅんさじしょく) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.907 caratteri · 63 schermate

Aozora Bunko

「馬鹿だよお前は……俺に謝罪っても何もならんじゃないか。ええ。一軒の家の主人となったら……ことにコンナ一軒家の中で、年老った両親や、沢山のお金の運命を受持っている若い人間は、モウすこし戸締りや何かに気を付けんとイカンじゃないか。お蔭でコンナ間違いが出来たじゃないか……ええ?……」

一と縮みになった一知は、一生懸命に気を取直そうとしているらしく、無言のまま何度も何度も襟元をつくろい直した。

「足跡も何も無かったんか。そこいらには……」

「……ハ……ハイ。ありま……せんでした。山の下から……この踏石を踏んで来たもの……かも知れません」

一知は先に立って表に出た。国道から曲り込んで、深良屋敷へ上って来る赤土道に、一尺置ぐらいに敷並べてある四角い花崗岩の平石を、わななく手で指した。草川巡査はうなずいた。腰を屈めて、その敷石の二つ三つを前後左右から透してみた。

「足跡も何も無い……ところでお前達は昨夜ドコに寝とったんか」

「この台所に寝ておりました」

「何も気付かなかったんか……それでも……」

何を思い出したのか一知が、突然に真赤になって自分の影法師を凝視した。その赤い横頬と、青い襟筋が朝日に照されて、女のように媚めかしかった。