Classici giapponesi con furigana
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パリのキャフェ
巴里のキャフェ
岡本 かの子
Leggi 巴里のキャフェ (パリのキャフェ) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3397 caratteri · 7 schermate
白い花を載せた浅緑の葉や、赤い花を包んだ深緑の葉の影がかたまり、盛り上り、重なり合った少しまばらなところに、女客のトオクの先がわずかにちらついて写った。体の影はずっと奥の方へ追いやられて、表から出入する客達のきれぎれの影に刻み込まれた。
部屋一ぱいの男客、女客の姿態は珈琲の匂いと軽い酒の匂いに捩れ合って、多少醗酵しかけている。弾む話。――
「巴里の消防署長が、火事のときに消防夫に給与する白葡萄酒を今度から廃めるそうですよ。」
「へえ、やっぱり節約からでしょうか。」
「いえ、あれを二本飲むと眠るものが出来て困るからだそうです。」
若い妻が老人の夫に嘆くそぶりで、
「いま巴里中であたしが一ばん不幸な女だろうと思うの。」
「なぜさ、なぜさ。」
「だって、お便通剤が一向利かないんですもの――。」
「ああ、またおまえのバレた冗談が、はじまったのか。」
外では、グラン・パレイの春のサロンから出て来た人がちらほら晩餐までの時間を持てあましている。
一人が道ばたの花園の青芝の縁に杖を垂直に立てて考えることには、
「ヒヤシンスはとても喫むまいが、チュリップというやつはこいつどうも煙草を喫みそうな花だ。